瞬間英作文トレーニングとは、日本語をすばやく英語に直す学習法のこと。
「英文法の知識はあるのに、うまく言葉を組み立てられない・・・」
という人にとって、とても効果的なトレーニングです。
何も考えずにただ英訳を繰り返すだけでは大きな効果は期待できないので注意が必要です。
今回は実際のトレーニング方法をふまえながら、英会話を意識した瞬間英作文のやり方ついて具体的に解説したいと思います。
瞬間英作文とは?なぜ必要?
瞬間英作文とは「日本語をすばやく瞬間的に英語に直すトレーニング」のことです。
例えば、
「あなたは幸せですか」
という日本語を確認したら、
すぐに”Are you happy?”と英語に直し、
「ビルの前に立っているあの男の人は誰ですか?」
という日本語を確認したら、
“Who is that man standing in front of the building?”と素早く英語に直します。
このトレーニングを何度も繰り返すことで、単語や文法の知識が、英会話でつかえるレベルにどんどん磨かれ、短時間で英語を組み立てることが可能になっていきます。
英語の語順を身につける必要性
このトレーニングが必要になる理由は、日本語と英語の語順の違いにあります。
さきほどの文の日本語
「あなたは幸せですか?」
と、その英語訳である
“Are you happy?”
の語順を比べてみてください。
- あなたは 幸せ ですか?
- Are you happy?
日本語が「あなたは」から始まっているのに対して、英語は “Are(~です)” から始まっています。
日本語と英語の語順が大きく異なることが分かります。
“Are you happy?” という英語をあえて日本語の語順で並べると、こんな間違った英語になってしまいます。
“You happy are ?”
(あなたは 幸せ ですか?)
語順が違うということは、日本語の感覚で英語を話しても正しい英語にならないということ。
英語を話せるようになるには、英語の語順感覚をつかまないといけないことが分かります。
瞬間英作文の正しいトレーニング方法とは?
英語の語順感覚をつかむのに瞬間英作文は効果的です。
ただ、日本語を見ながら英作文に取り組んでしまうと、この英語の語順感覚は身につきにくいです。
例えば、
「私は彼女が何歳なのか知らない」
という英語は、
“I don’t know how old she is.”
となりますが、
日本語の場合「私は…彼女が…何歳なのか…」と言葉がつながっていくのに対して、
英語は “I don’t know…”(私は知らない…)から始まっています。
なので言葉にするときは当然、
“I don’t know how…”
という語順で話していきます。
ところが、日本語を見ながら英作文をすると、この通りに言葉を組み立てる練習ができません。
こんな思考プロセスをたどることになるからです↓↓↓
この形だと、単語や文法の知識をつかって英文を少しずつ作っていますよね。
この思考プロセスは文法や言葉を組み立てる方法を習得するのには向いていますが、会話に使える「言語化のスキル」を磨くのには向いていません。
実際の会話では前から言葉をつむいでいく必要があり、語順通りに考えることが求められるからです。
文法を会話で使えるようにしたいなら、日本語を見ずに「前から順番に英語をつくる」練習をして、英語の語順や感覚を身につけなければなりません。
試しに次の日本語を一旦覚えて、何も見ずに英語にしてみてください。
「なぜあなたは英語が難しいと思うのですか?」
・・・どうですか?
何も見ずに英語にしていくほうが、英語の語順を意識してトレーニングできたのではないでしょうか。
瞬間英作文で大きな効果を発揮するには、英語の語順で前から順番に考えるという思考プロセスを意識しながら、トレーニングする必要があります。
このことをふまえたうえで、お勧めのトレーニング方法をお伝えしたいと思います。
瞬間英作文トレーニングのやり方
一般的に瞬間英作文というと口頭での英作文を指しますが、より効果を高めるためにライティング(記述)とスピーキング(口頭)の2段階で進めていく方法をお伝えします。
ライティングをやってみて物足りなさを感じた人は、スピーキングから始めてもいいと思います。
1. ライティング(記述英作文)
まずは日本語を英語にして書くトレーニングです。
スピードを意識しなくてもいいので、英語の語順を意識しながら前から順番に英文を書いていきます。
トレーニングの仕方
- 日本語とその英訳を用意します。
>このとき英語を見ないようにする - 英語にしたい日本語を記憶します。
例:「昨日は何をしましたか?」 - 前から順番に英語で書いていきます。
例:”What… you… did… yesterday?” - 添削を行います。
例:”What did you do yesterday?” - 足りない知識をインプットします。
例:疑問文の語順が間違っている
このトレーニングでは、書き始めた手を止めずに最後まで書ききることを目標にします。
ゆっくりでもいいので、言葉を話す時のように前から順番に言葉をつむいでいってください。
英語を書くときは、日本語を見ないように気をつけてください。
日本語を見ながら書くと、どうしても知っている単語から書きたくなってしまうため、英語の語順を身につけるトレーニングになりません。
見たい気持ちをグッと我慢して、英文をすべて書き終えてから答え合わせをするようにしましょう。
2. スピーキング(口頭英作文)
ライティングに慣れてきたら、次は口頭での英作文に挑戦します。
トレーニングの仕方
- 日本語を見ます。
例:部屋をきれいにしておくことは重要です - 日本語から目を離します。
- すぐに英語にします。
例:”It’s important… to keep the room clean.” - 答え合わせをします。
途中で言葉に詰まっても、なんとかして英語をひねり出して答え、解答を確認して間違いを正しましょう。
このトレーニングも記述のときと同じで、日本語から目を離して「前から順番に」英語で答えていきます。
このトレーニングは、目標を2段階に分けて行うと効果的です。
1つ目の目標は、途中で詰まってもいいので言い間違いや言い直しがない状態で最後まで言えること。
この段階では、ゆっくりで構わないので、意識的に言葉を組み立てます。
2つ目の目標は、途中で止まることなく最後までスムーズに言えること。
意識的に行っていた英作文を、意識せず自動的に口から出せるようにします。
日本語の文を見飽きるぐらいまで、何度も繰り返し練習しましょう。
お勧めの瞬間英作文テキスト
瞬間英作文は、日本語とそれに対応する英語の文が準備できれば、テキストがなくても練習できます。
でも、音源や詳しい文法の解説があったほうが明らかに学習効率がいいので、本腰を入れてやるなら市販のテキストを用意してトレーニングすることをお勧めします。
ここではお勧めの本を3つ紹介します。
耳で聞いて練習したい人向け
耳で聞きながら瞬間英作文の練習ができるテキストを2つ紹介します。
どちらも「日本語⇒英語」の順番に音声が録音されているので、「耳で聞いた日本語を英語に直す」という形でのトレーニングが可能です。
ただし即答力が上がってくると、日本語が頭に残って邪魔に感じることがあるので注意してください。
英語を自動的に組み立てられるようになってくると、日本語を介在せずに考えることができるようになるからです。
そうなったときは、音声をつかわずテキストを見ながら訓練するか、聞いた日本語の内容だけを頭にとどめておき、その内容を英語化するように意識するとうまくいきます。
どんどん話すための瞬間英作文トレーニング
中1、中2、中3という順番で、文法テーマ別に瞬間英作文用のテキストが収録されています。見開きページの左に日本語、右に英語という形で見やすい構成になっていて使いやすいです。ただ文法の解説はついていないので、文法知識を習得した上でひたすらトレーニングをしたいという人向けです。「日本語⇒英語」の音源がついています。
NOBU式トレーニング
最初に詳しい文法の解説があり、それをふまえて瞬間英作文トレーニングをするという構成になっているため、文法知識の見直し・確認も一緒に行いたいという人にお勧め。「日本語⇒英語」の音源つきで、中1、中2、中3という順番で文法テーマ別に内容が収録されている。
※CDにはmp3データが入っているので、そのままではCDプレーヤーで聞けないことに注意。PCで再生するか、そこからスマホなどにうつす必要があります。
音読トレーニングに興味がある人向け
最後に紹介するのは、英文を何度も繰り返し読む「音読トレーニング」の教材です。
音読には、英語の語順を感覚に染み込ませる効果があるので、英作文トレーニングと相性がよく、併用することで良い相乗効果を期待できます。
見開きの左ページに音読用の英文、右ページに対応する日本語訳という構成になっています。
英会話に使える文法が厳選され、文法テーマ別にネイティブの使用頻度が高い順に収録されています。
文法解説がイラストつきで分かりやすく、音読トレーニング用に構成されているので、英語の即答力だけでなく、音読によって英語の感覚を身につけたいという人にお勧めです。「日本語⇒英語」という音源はないので耳だけで瞬間英作文を行うことはできません(音声は英語のみ)。
言いたいことが英語がパッと出てこない人は、瞬間英作文トレーニングにぜひ挑戦してみてください。
根気強くつづけていると、思ったことが自然に英語で出てくるようになるはずです。